先月下旬、雪がチラつく寒い日に新潟・上越市にある妙高酒造へ行って来ました。
会員店販売を行う越乃雪月花の販売店の店主が集まり、特別なお酒を搾る作業を行うためです。

特別なお酒とは…
この冬に仕込んだ越乃雪月花・純米大吟醸で、搾りに参加する会員店の為だけに仕込んだものです。
その仕込んだ搾る直前のもろみを「袋吊り搾り」という方法をとります。
それはもろみを袋に入れ、紐でしばって吊るすだけという方法なのです。
「もろみ」自体の重みと重力のみで、酒の雫が滴り落ちてくるんです。
余分な圧力が全く加わらないため、雑味成分の少ない大変キレイなお酒が搾られる方法ですが、少量しか搾れない為、通常は最高ランクの大吟醸の一部などでしか行われていないという大変贅沢な搾る方法なのです。
当日は朝8時頃から蔵に入り、白衣や長靴を着用し臨時の蔵人になります。
朝の朝礼に出席し、その後搾りの作業へと移ります。

まず最初の私の担当は、酒タンクにあるもろみを袋に入れる係りです。
幅約30センチ、長さ1メートルほどの袋にタンクの下につけた口からもろみを出しいれます。
これが結構難しい…入れすぎても少なすぎてもよろしくなく、ちょうど良い加減が分かるまで大変でした。

そのもろみが入った袋の上を紐で縛り、すぐ近くにある別のタンクへ
そのタンクには棒が渡してあり、それに縛りつけます。
この日の酒屋さんは総勢6名。地元上越の酒屋さんや新潟市、遠く茨城や福井からもいらっしゃいました。
酒の知識は皆さんありますが、実際に蔵に入り搾りの作業を行えるのは貴重な体験。それをさせて頂ける蔵元は全国的にもわずかだと思います。そしてそれを販売できるのですから、自然と力が入ります。

タンクを上から見渡せる台の上に立ち、二人一組で袋を吊るします。
吊るした瞬間からポタポタと雫が落ち始め、何とも言えない良い香りの吟醸香が作業場に広がります。

これが雫です。ポタポタと自重と重力の力だけで酒が滴り落ちます。

非常に贅沢な搾りたて・出来立てのお酒を試飲させて頂きます。
うーん、うまい!ちなみに薄くにごっているのは、「搾りたて」だからです。
果実の香りに似た華やかであり主張しすぎない吟醸香と、含んだ味にふくらみもあり後味がすっきりと切れる純米大吟醸の味わいは素晴らしいです。
さすがは県内屈指の平田杜氏の酒です。
ちなみにこの搾る作業(上槽)をしないと「清酒」と名乗れません。
一般的に販売される「にごり酒」も荒めの袋で搾っていますので清酒となりますが
「どぶろく」は搾らないので清酒ではありません。
搾りの作業を行わないと品質の劣化が早いそうで、昔から行われるこの作業にも意味があるんですね。

滴り落ちた雫を瓶に集めます。
集めるための瓶が「斗瓶(とびん)」と呼ばれ、一升瓶(1.8L)が10本分(1斗=18L)の酒が入ります。
これが「斗瓶取り」と言われる所以です。
(ちなみにこの写真は昨年のものです…今年は撮り忘れました)
この後、残ったもろみと袋吊りで落ち切れなかったもろみを搾る「中取り」という作業に移ります。
中取りはもろみに少しの重りを載せ搾る、これも贅沢な搾りなのですが…
その作業の模様は次回に
